会議での質問はこうやってみよう
2026/02/02
前回はコーチングで質問を作るときのコツについてお伝えしました。
基本は縦の質問と横の質問を組み合わせて使うこと。
そして何より、相手の話をしっかりと聴いていれば、質問は浮かんでくるということをお伝えしました。
同じ質問でも、今度はコーチングという1対1の場面ではなく、会議という場での1対多数という場面での質問の作り方です。
実はファシリテーターとして質問をちょっとだけ工夫するだけで、会議の参加者からの意見はどんどん出てきます。
逆にファシリテーターの質問がまずければ、アイデアは全然出てこなくなるんです。
ではどんな質問をすればアイデアがどんどん湧き出てくる会議のなるのか。
今回はそのコツについてお伝えします。
【ストレートな質問はやめよう】
まずはどんな質問をしてしまうと、会議の意見が出なくなってしまうのか。
その例をご紹介しましょう。
一言で言えば「ストレートな質問」がダメなんです。
一番典型的なものとして、何かのアイデアが欲しい時。
「これについて、何かアイデアはありませんか?」
いやいや、そんなのすぐには思いつきませんよ。
また何らかの問題が発生した時。
「この問題の原因、何か思い当たるものは?」
まぁ思い当たるものは出てくるでしょう。
けれどこのままだと、「事」に対してでなく「人」に対して原因を求めてしまいがちになります。
つまり、悪者を探してしまうような会議になりかねないということです。
他にもこんなのがあります。
「君たちはどうしたいんだ?」
これ、上司が部下にこの先のことを聞きたい時にやりがちな質問です。
けれど、個人的にやりたいことを述べてもいいのかな、上司や周りから否定されないのかな、という気持ちが湧いてきて意見しにくくなります。
そして極めつけなストレートな質問がこれです。
「これについて何か意見のある人はいませんか?」
この質問が一番困ります。
意見はあるんだけど、こちらがその意見を否定されているんじゃないかと思われてしまう。
それを言ってしまうと周りからの否定や反撃が怖くて言い出せない。
だから黙っていたほうが懸命だ、ということになっちゃうんです。
他にもこういった答えにくい質問は例を挙げればキリがありません。
あなたもファシリテーターとして、こんな感じのストレートな質問を相手に投げかけていませんでしたか?
その結果、なんでこんなに意見が出ないんだろうと悩んだことありませんか?
【質問は変化球で】
では具体的にどんな質問を投げかければいいのでしょうか?
私はよく「質問は変化球で」とお伝えしています。
つまり、まっすぐに聞き出すのではなくちょっと本題から外れているような感じで質問を投げかけます。
しかも、1回で聞き出すのではなく3回のステップを踏みます。
これは特に問題が発生した時にそれを解決する「問題解決会議」や、新しいアイデアが欲しいときの「アイデア抽出会議」なんかに使います。
変化球を投げて、会議参加者の頭を徐々にその問題に向けさせるようにしていくのです。
では具体的な3回のステップをご紹介しましょう。
これは基本的にはGROWモデルを活用します。
1.現状を明確にする
問題解決会議では、問題が起きている今の状況を明確にします。
ただし、このときもストレートな質問は避けましょう。
私は具体的にはこんな質問を投げかけます。
「今、この問題について困っていること、悩んでいることを出して下さい」
「今、これによって何に困っていますか?」
「このことで相手は何に困っていると思いますか?」
このように、「困りごと」や「悩み事」といった言葉に置き換えるんです。
そうすることで、現状の問題点と言われてもピンとこなかったところが、「困りごと」と言われるとひらめきやすくなります。
この困りごとこそが、現状そのものと言っていいでしょう。
これはアイデア抽出会議でも活用できます。
困りごとを解決するアイデアを出せばいいのですから、まずはその困りごとを明確にしてあげるのです。
これで現状確認ができましたので、次のステップに移りましょう。
2.目標を明確にする
GROWモデルでは現状と目標を明確にして、その間にあるギャップに気づいてもらうことで解決策が見出しやすくなるということです。
ということで目標を明確にしてもらいましょう。
といっても「この問題の目標を出して下さい」ではそれこそチンプンカンプンで意見が出ません。
だから私はこんな質問を投げかけます。
「この問題が解決した理想の姿とはどんな状態でしょうか?」
「そもそも本来あるべき姿とはどんなものですか?」
「あなたはどんな未来を描いていきたいと思いますか?」
「目標」という言葉を「理想の姿」「あるべき姿」「未来像」というような言葉に置き換えるのです。
そうすると人は頭の中でそういった姿を創造します。
それを言葉にしてもらえばいいのです。
また、アイデア抽出会議の場合はこんな言い方をしてみます。
「まだ見ぬアイデアで、この企画の対象者はどんな姿になってもらいたいと思いますか?」
まだアイデアそのものは出てきていないけれど、そもそもどうなってほしいからアイデアを出そうとしているのか、そこを明確にするのです。
すると参加者の皆さんは、こうなってほしい、ああなってほしいという言葉を出してくれるようになります。
で、こうやって出されたものをよく見てみると面白いことに気づきます。
その多くは「1.現状を明確にする」で出されたものと逆の状態になっているということです。
つまり、今の困りごとをひっくり返せば理想の状態になっている、ということですね。
ここに気づいてもらうことも大切になります。
3.解決策を出す
そしていよいよ本題、解決策やアイデアを出してもらいます。
実はこのとき、すでに参加者の頭の中ではたくさんのアイデアが渦巻いています。
どうしてそうなるのか?
ポイントは「2.目標を明確にする」なのです。
このときに「だったらこうすればいいじゃない」「これが解決策になるよね」というような意見が飛び交っているのです。
あとはそれを言葉にしてもらうだけです。
このときの質問はずばりこれ。
「ではどうすれば解決できるのか、どんなことでもいいので思いついたことを出してみましょう」
基本はこれでOKです。
これだけだと、ストレートな質問と言葉そのものは大して変わりません。
けれど、変化球を投げたことで参加者の頭の中ではアイデアがたくさん湧いてくるようになります。
アイデア抽出会議でも同じです。
「理想の姿を手に入れてもらうために、どんなことをすれば(どんなものを作れば)いいでしょうか?」
このとき、参加者の頭の中には「2.目標を明確にする」で出されたときの相手の姿が思い浮かびます。
あとはそうなるように、何をすればよいかがひらめきやすくなるのです。
この3ステップが会議におけるアイデア出しの質問のコツであり、変化球を投げるということになります。
大事なのは、徐々に参加者の頭をセットアップしていくことです。
時間はかかりますが、結果的にたくさんのアイデアがでてくるようになります。
【言葉を変えてみる】
今回の例でおわかりかと思いますが、ファシリテーターとして会議で質問を投げかけるときには、直接的な言葉ではなく、同じような意味を持つ別のイメージしやすい言葉に変えてみるといいのです。
先ほどの例では
「現状」→「困りごと」「悩み事」
「目標」→「あるべき姿」「理想の姿」「未来像」
というように置き換えてみました。
このようにもっと身近に、イメージしやすい言葉に変えることで、会議の参加者は答えやすい質問にすることができます。
こういった言い換えは、ファシリテーターの語彙力にかかっています
いかに言葉を知っているか、どのような言葉に置き換えると効果的なのか、それをまずは知識として持っておきましょう。
でも、具体的にどう言い換えればいいの?
お困りの方はChatGPTに代表される生成AIを活用されても良いかと思います。
「会議で現状を聞き出す時に、他のよい質問のやり方を教えて下さい」
こんな感じでいくつか候補を出してもらい、今の状況にぴったりの言葉を活用してみるのです。
いや、それ以前にまずはあなた自信が本を読んだりして、たくさん学んでおくことの方をおすすめしますよ。
毎回AIに聞くのでは、頭に残りませんからね。
語彙力を鍛えるには、活字を読むこと
できれば本で読むことをおすすめします。
【質問は肯定形で】
そしてもう一つ、質問をするときのコツがあります。
それは「否定形では質問せずに肯定形で質問をすること」です。
否定形の質問とはこんな感じになります。
「そうならないために、なにをすればいいでしょうか?」
これは状態を否定する質問になり、「そうならない」の前に「そうなる」=「悪い状態」をイメージさせることになり、あまり良いアイデアができません。
またこんな質問もあります。
「そうするために、何をさせない(禁止する)ようにしますか?」
これは行動そのものを否定させるような言葉になります。
これについても、禁止の前の「悪い行動」をイメージさせることになります。
だからこそ先ほどのGROWモデルの「2.目標を明確にする」が効いてくるのです。
目標とは理想の姿、あるべき姿です。
そうなるようにするための行動を促すように質問をすると、状態も行動も肯定形になります。
「こうなるために、何をすれば良いでしょうか?」
ね、こんな感じで肯定形で質問を行うことで、参加者の頭の中では良い状態と良い行動が浮かんでくるのです。
これはコーチングの質問でも同じです。
状態を否定するような質問の仕方や、禁止する行動を促すような質問の仕方は避けるようにして下さい。
人は頭の中で描いた行動しかできません。
そしてもう一つ、脳は否定形を認識できません。
例えば「ピンクの熊をイメージしないで下さい」と言われたら、どうですか?
おそらくピンクの熊が頭の中に浮かんできたでしょう。
それと同じで、何かを否定するような質問を投げかけても、頭の中は否定する前の状態や行動を思い浮かべてしまいます。
その結果、悪い状態の行動を無意識に起こしてしまうのです。
質問は肯定形で、これは鉄則なので覚えておいて下さい。
【相手の反応を見よう】
こちらが上手に言い換えたつもりでも、参加者にとってはまだよくわからない、理解できないという質問になっていることもあります。
これについては何度も経験をしないと、その勘所がわからないものです。
とはいえ、今投げかけた質問が効いているのか、それを確認する方法があります。
それが「相手の視線を見る」です。
効果的な質問を投げかけると、参加者は答えになるものをイメージし始めます。
すると視線が自然と上向きになります。
逆に「これはどういったことを問われているのだ?」と悩み始めると、視線は自然と下向きになります。
参加者の視線、どちらが多いですか?
これを確認して、もし視線が下向きの人が多ければ別の質問を考えてみましょう。
基本的に尋ねたいことの本質が同じであれば、言葉を変えて質問をしてみるということも有効ですからね。
自分が作り出した質問に固執せず、いろいろと質問詞を変えてトライしてみるという勇気も、ファシリテーターには必要なことですよ。
【おわりに】
会議の場での質問の作り方のコツ、ご理解いただけたでしょうか?
ストレートな質問を投げずに、変化球を投げる。
そのときに3つのステップを踏むこと。
また、質問は言葉を変えてみる。
そのためには語彙力を磨くこと。
そして質問は肯定形で行う。
こういったことを身につけるには、普段から意識をして会話をすることをおすすめします。
こういった質問の投げかけ方は、会議の場だけでなく日常会話でも使えるものですからね。
特に相談事や悩み事を持ちかけられたときはチャンスだと思って下さい。
今回お伝えしたようなことを活用して、解決策を導いてあげましょう。
ファシリテーターとして質問の投げかけ方のコツはわかった。
けれど、今ひとつ会議の場が盛り上がらないんです。
あぁ、それはこれをやっていないからですね。
そう「アイスブレイク」です。
ということで次回は会議の場を盛り上げる「アイスブレイクの方法」についてお伝えしましょう。
私はアイスブレイクの宝庫と言ってもいいくらい、たくさんのアイスブレイクネタを持っています。
次回はその中から効果的なものをご紹介いたします。
次回も乞うご期待!
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