意見が対立!実はその時がチャンスなのです
2026/05/20
前回は会議のルールの作り方と運用についてお伝えしました。
会議のルールを上手に作り運用すると、意見もたくさん出るようになるし。
さらに会議の時間も短くなります。
しかし、いくらルールを作っても会議の中で「意見の対立」はどうしても起きてしまいます。
「いや、相手の意見を否定しちゃダメでしょ!」
と、ルールの運用を出したくなりますが、いくらルールで否定せずに受け入れましょうと言っても、やはり自分の意見は主張したいもの。
その結果、AさんとBさんの意見が対立してしまう、なんてことも起きてしまいます。
また国会に代表されるように、賛成か反対かといった意見の対立もよく見られますね。
これじゃ、合意形成なんてできっこないです。
いやいや、実はこの「意見の対立」の場面こそチャンスなのです。
そう、意見の対立があるからこそ、合意形成ができるのです。
でもどうやって?
今回は意見の対立の解消だけでなく、そこから合意形成に促すという方法についてお伝えしましょう。
【そもそもなぜ意見が対立するのか?】
会議の場面での意見の対立って、どうして発生するのでしょうか?
実はここには3つの原因があります。
その原因をしっかりと押さえておかないと、対処方法を間違えてしまいますからね。
原因1 解釈がズレている
実はこれが結構多い原因です。
物事には「事実」と「解釈」があります。
事実とはすべての人がそうだと言えるもの、解釈は人によって捉え方が違うもの。
例えばある商品を購入しようとして、その是非を考える会議をしたとしましょう。
Aさんは「それは高いからダメだ」といい、Bさんは「高いから品質がいいだろう、だから良い」と判断し、意見が対立したとします。
しかし、高いからダメ、高いから品質が良いというのは人によって意見が違います。
つまり解釈です。
そこにある事実は「この商品はこの価格である」という事実だけです。
大事なのは解釈で意見を言い合うのではなく、事実を睨むことです。
原因2 目的がズレている
もともとの目的がズレていると、意見はいつまで経っても平行線です。
先ほどの事例、ある商品を購入しようとした場合。
Aさんは「いかにしてコストを安くするか」を目的としています。
Bさんは「品質が良く長持ちすること」を目的としています。
これで意見を言い合っても、ずっと平行線のまま、交わることはありませんよね。
だから会議の「目的」がとても大事になります。
目的がズレていると思ったら、会議そのものの目的をもう一度皆さんで確認しましょう。
そして目的を揃えること、ここを意識することがとても大事になります。
原因3 各々の価値観がズレている
今回の一番メインとなる原因、そして合意形成のチャンスとなる原因がこれです。
人はそもそも一人ひとり価値観を持っています。
それが最初から全員が同じになることなんて、まずありえません。
同じものを見たり聞いたりしても、それに対しての考え方はそれぞれです。
だから意見がたくさん出てくるのです。
けれど、価値観がバラバラのままでは組織としての統一がとれません。
そのため、この価値観をどうやって合わせるのか、これがファシリテーターの腕の見せ所となります。
ということで、これから「意見の対立」=「価値観のズレ」をどのようにして解消していくのか、その方法についてお伝えしましょう。
【やってはいけないこと】
価値観のズレによる意見の対立を解消する際、先に「やってはいけない解消方法」についてお伝えしておきます。
これらはついやってしまいがちになるので、こちらをご紹介します。
1.安易に多数決で決める
これが一番やりがちなことです。
だって、簡単だしすぐに決まりますからね。
けれど、充分な意見交換をしないまま安易に多数決にしてしまうと。
負けた少数派はどう思うでしょうか?
勝った方に協力しようとは思わなくなるでしょう。
それが人の心理というものです。
安易な多数決は、さらなる対立を生み出してしまう危険性があります。
意見が対立したからと言って、すぐに多数決に頼らないように注意して下さい。
2.説得にかかる
これは特に偉い人に忠告です。
自分の意見になんとか納得させようと、相手を説得してしまうというやり方です。
最終的には偉い人に逆らえないので、グチグチ言いながらも従うしかないという状況に陥ってしまいます。
これも、説得された側としては納得していないため、後から愚痴や不満を生み出してしまうということもあるのです。
これだと合意形成にはなりませんよね。
3.妥協してしまう
意見の対立が面倒だ、相手との仲を悪くしたくない。
ここは自分が妥協して我慢することにしよう。
これもやってはいけないことです。
特に気の弱い人は、すぐにあきらめて妥協してしまう傾向があります。
その結果、自己主張できずにストレスが溜まってしまう、なんてこともあります。
自分が我慢すればいい、というような妥協は行わないで下さい。
それだと、いつまで経っても納得いく結論にはなりませんからね。
4.なかったことにする
意見が対立、このままだと面倒だ。
「わかった、言い争うようであれば今回の件はなかったことにしましょう」
こういう結論を出す人もいます。
いやいや、せっかく良い結論を出そうという時なのに。
なかったことにしてしまうと、何も残りません。
これではもったいないです。
議題に挙がっていることは、必ず意味があることです。
それを、意見の対立が面倒だからといってなかったことにするなんてやってはいけません。
きちんと議論すれば、素晴らしいものができ、みんなが満足する結論を創り出すこともできるのですよ。
5.権力者に結論を任せる
意見が対立した、お互いに引く気配がない。
「仕方ないので社長に判断をお願いしましょう」
これもありがちな方法です。
けれどそれで本当にいいのでしょうか?
内情をよく知っているのは現場担当者です。
確かに最後に責任を取るのは、その組織の権力者です。
だからといって、すべての判断をその人に任せるのは荷が重い話です。
その権力者の判断が間違っていた場合、みなさんは誰の責任にすると思いますか?
おそらく、その判断を下した権力者を悪者にしてしまうでしょう。
これでは権力者もたまったものではありません。
【意見の対立の解消方法】
では具体的にどのようにすれば意見の対立を解消できるでしょうか?
これには大きく2つの方法があります。
1.新しい意見を創り出す「創造」
そもそもAという意見とBという意見が対立をしていたら、AかBかのどちらかを選ばなければいけないということはありません。
その療法を満足するCという新たな意見を創り出してみましょう、ということなのです。
私はこれを
× AorB
◯ A+B=C
という伝え方をしています。
ではどうすれば新たなCという意見を創り出せるのか。
まずはA案とB案のメリット、デメリットを出し合います。
そして両方のメリットを睨んで下さい。
すると、最大限両方のメリットを満足させるようなC案というものが浮かび上がってきます。
それも一つだけではなく、いくつも挙がってくることもあります。
双方のメリットを多く満足させると、自ずと各々のデメリットも解消されます。
また、メリットは会議の目的に添ったものを優先的に活用するといいですよ。
そうすることで合意形成が自ずと出来上がってしまうのです。
2.お互いに譲れるものを「交換」する
A案の中で、ここは絶対に譲れないけれどこの部分だったらまぁ相手に譲ってもいいかな、という点があるかもしれません。
同様にB案の中でも譲れるところ、譲れないところがあるでしょう。
ここでお互いに譲れるものを交換し合うようにすると、丁度良い妥協点が見つかります。
妥協点、といってもあきらめではありません。
丁度良いところが見えてくる、と言ったほうがいいでしょう。
A案派が「この価格を守ってくれれば、あとは問題ない」。
B案派が「最低◯年使える品質保証があれば、あとは問題ない」。
このようにお互いが譲れない点はしっかりと伝え合い、あとは交換しあえる点を出し合うことで、ちょうどよいものが見つかるかもしれません。
まぁこれも一つのC案とも言えますが、妥協ではなく交換し合うというのが大きなポイントです。
そうすることで、お互いに納得いく結論を導くことも可能になります。
【実際の取組み例】
これは私がとあるところから依頼をされて、経営者側と店長側での意見の対立を解消のファシリテーターをやったことのあるお話です。
詳しい内容は書けませんが、とある飲食店で数店舗を持っている会社で意見の対立が起きました。
経営者側は今後のコストを考えて、今後お客様に提供する商品の味を揃えたいということ。
そうすることで、一括購入できて品質も揃うのでコストもかからなくなる。
一方店長側の意見は、同じ商品でもお店によって個性の味がある。
お客様は自分たちの提供する味で来てくれている。
だから味を揃えるのは反対である。
このような対立姿勢だったのです。
そこで私は「創造」のプロセスを作りました。
各々に付箋をわたして、お互いの意見のメリット、デメリットをたくさん出してもらったのです。
一通り意見が出揃ったところでこう伝えました。
「お互いのメリットが活かせる意見を考えてみませんか」
すると、付箋を貼ったホワイトボードの周りに集まって、経営者と店長がああでもない、こうでもないと自発的に議論を始めたのです。
私はそれを一歩引いたところから見ていただけ。
そして結論が出ました!
「今まで提供していた商品についての味はそのままでいこう
今後出していく新商品については味を揃えましょう」
こうやって出してみるとなんてことはない結論です。
けれど、この会議をやる前までは、そんなことすら考えつかなかったのです。
これはお互いの価値観にしがみついていたからなのです。
【意見の対立はチャンスの場面】
今回の事例でおわかりのように、意見の対立というのは双方が満足する新しい考えを生み出すチャンスでもあります。
だからファシリテーターは意見の対立を怖がらないで下さい。
いや、むしろ「これはチャンスだ!」と喜んでみましょう。
そもそも、それぞれが今まで出し合った意見にしがみつく必要はありません。
そんなことをしていたら、新しいものを取り入れることなんてできませんからね。
だからといって、むやみやたらに新しいものばかりを取り入れようとすると、そこには必ずリスクが伴います。
多くの人はそのリスクが怖くて、前例に頼ってしまうものなのです。
よく会議で聞かれるセリフに
「前例がないからダメだ」
というものがあります。
そうなると、どんどん時代に取り残されてしまいますからね。
今までのやり方と新しいやり方、お互いのメリット・デメリットをしっかりと出し合い、その上で自分たちの価値に合った新しいものを創り上げていく。
これこそが今の企業にとって必要なことではないでしょうか。
ということで、自分の考えている価値をどんどん会議の場に出してみましょう。
そして、新しいものをどんどん創っていく、そんな企業文化を育ててみましょう。
それが今の時代には必要なことだと私は思っています。
【おわりに】
意見の対立の解消方法、ご理解いただけたでしょうか。
また、意見の対立が実はチャンスの場面だったということもわかったと思います。
だからこそ、ファシリテーターはまず意見の対立の解消方法を知っておく必要があるのです。
安易な方法でその場をなんとか治めようとせず、しっかりと議論を交わすこと。
これがとても大事になります。
まずはファシリテーターが意見の対立を怖がらずに、きちんと向き合うことが大事です。
大丈夫、結論を出すのはファシリテーターではありません、会議の参加者ですから。
どんな意見にまとまっても、ファシリテーターのあなた一人が責任を負うことはありませんからね。
堂々と胸を張って、ワクワクしながら対立の解消に臨んでいきましょう。
これ、一度味わうとだんだん楽しくなりますよ。
ところで、ファシリテーターって会議の時に具体的に「どんな振る舞い」をすればいいのでしょうね?
会議の進め方はわかっても、実はちょっとしたふるまいで参加者への気遣いになったり、会議を盛り上げたり、また時間短縮につながったりするのです。
次回はファシリテーターのちょっとした振る舞い方について伝えしましょう。
乞うご期待!
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